そもそも日向夏とは?

最初に、日向夏(ひゅうがなつ)とは、どういう果物か?

『日向夏』とは、かなり簡単な一言で言うと「宮崎県で生まれた特産のかんきつ類」です。
もう少し言うと、文政年間(1820年頃)に、旧宮崎郡の赤江村城ケ崎に隣接する曽井というところに、 偶発実生(ぐうはつみしょう)として発見されたものです。
偶発実生とは、人が手を加えてできたものではなく、自然の力で偶然に、種子が発芽して成長してできたものを言います。
つまり、日向夏は、宮崎の風土を自ら選んで生まれた、まさに大地からの贈り物であり、奇跡的な果物だと言えます。

親は明らかではないのですが、ユズの血をひいていると考えられていて、なるほど、とても爽やかな芳香をもちます。

学名:シトラス・タムラナ
Citrus Tamurana Hort・TANAKA

発見された当初は、ごくごく普通のみかんと考えられて、11月頃に収穫して食味されたところ、 とても酸っぱくて食べられたもんじゃない!!っということだったようですが、
ある時、みかんの時期でないのに黄色く熟した果実が目に留まり、やはり食味されたところ、・・・とっても美味しかったのです!!(昔の人談)
そうなのです、普通のみかんが10月や11月頃に旬を迎えるものが多い中、日向夏は旬が4月頃です!!
なんと、5月上旬に授粉して果実を形成し始めてから、11か月ほどもの長い時間を樹上で、じっくり熟成させる珍しい晩柑類です!

独特な食べ方

日向夏は、かんきつ類の中で他に類を見ない、優れた特性を持った果物です。
日向夏を初めて目にされる方は、その独特な食べ方をまだ知らずに、温州みかんのように外皮を剥いて食べてしまい、酸っぱいと衝撃を受けられた人がいるかもしれません。
皮を手で剥いて中身だけを食べると、ほんとに酸っぱいです。
しかし、前述のように日向夏は他に類を見ない特別なかんきつ類であり、なんとも驚くべき特性を有しています!
それは、普通のカンキツ類とは違い、『日向夏の白皮(アルベド)には「苦味」が全く含まれていない』のです!
つまり、りんごのように包丁などで外皮を剥き、ふわふわした白皮を果実に残して一緒に食べると、酸味が絶妙に中和されて、すこぶる爽やかな風味を生み出します!!
包丁で外皮をむいたあとは、中央にある芯部を残すように、包丁で切り分けて下さい。そうすると、芯部にほとんどの種が残りますので、種を気にせず食べることができます。
食べると驚かれるのは間違いないと思います♪

一言で日向夏といっても、実は色々な種類があります。

『日向夏』は宮崎県原産の果物ではありますが、他県(高知県など)でも栽培されており、その呼び方は栽培されている県でいくつかあります。宮崎県では『日向夏』ですが、高知県では『ニューサマーオレンジ』などです。
また、やはりその地で好まれるかたちがあるのか、高知県の日向夏は小玉(小さな果実)であるほど需要があるようで、そのため栽培されている日向夏は小玉の品種が多いようです(ほとんどだと聞きましたが)。地方によって需要が違うところが面白いです。

品種がたくさんあっても、まとめて「日向夏」として呼称されて販売されるため、原産地の宮崎県であっても、長い歴史の中で消費者にとっては「日向夏は1種類」だと認識されていることが多いようです。まして、宮崎県人でも、「種無し日向夏」が年内から出荷が始まることが普通になっていることによって、「日向夏の旬は冬?」だと勘違いされている方も増えてきているようです。「旬が冬なのに、なんで日向『夏』っていうの?」と質問されたこともありまして、記憶に深いです^_^;
本当の旬は『初夏』だと言われたり、春の新芽が出始める時期が一番美味しいと言われてたりしています。次作の都合のため、初夏を迎える前には収穫や剪定といった作業を済ませていないといけないため、なかなか初夏まで果実を残せないのですが・・・。

宮崎県の主な品種色々

「在来系日向夏」
一番最初に栽培された、一番の歴史ある、いわば日向夏の元祖です。
熟すまでに長い月日を必要とし、春から初夏に労力が集中するために特に難しいとされていることや、 一番古くから栽培され、その高樹齢化により新品種に植え替えがすすめられ、今では、とても希少となってきている品種です。
収穫から授粉作業までの日数が短く、作業が慌ただしくなる栽培管理上の理由が大きいのだと思いますが、ついに苗木の生産もなくなった日向夏のオリジナルです。
また、自家不和合性(自分の花粉で果実をつくれない)の特性をもつため、昔からハッサクや文旦などの花粉で人工授粉をします。
当農園で「原産原種日向夏」として販売している日向夏が、この品種にあたります。

「早生系日向夏」
宮崎県清武町で、在来系の枝変わりとして発見されたものです。
在来系より酸の減りが早く、1か月ほど早く収穫時期を迎えることができるため(その分、授粉までの作業が余裕が生まれます)、今では宮崎県内のほとんどがこの品種に切り替えられています。
年内出荷を目的としたハウス栽培の種無し日向夏も、減酸の早いこの品種です。

「西内小夏」
熟期は5月頃と遅いものの、自家和合性(自分の花粉で果実をつくれる)という特性を有していて、日向夏の大きな労力の一つである「授粉作業」を必要としない、「省力」ということが最大のメリットとして栽培が広まっている品種です。

「口之津41号」
「4倍体の花粉」をもつ日向夏で、その花粉で通常の「2倍体」の日向夏に授粉してやると、「3倍体」の「種が少ない日向夏」が生まれます。
昔からの八朔や文旦に代わり、この品種の花粉を用いて「種が少ない日向夏」を生産することが主流になりつつあります。
私は「種が入っている方が味が深くて濃いのではないか」って、昔からずっと思ってはいますけど。

まだまだ、たくさんある日向夏の品種
「白鳥日向」「室戸小夏」「宿毛小夏」「井原日向」「松岡小夏」

太田原農園の日向夏が美味しい理由

<ポイント1 今では希少な、一番古い日向夏品種を、しかも古木で栽培>
甘さのみを重視して品種改良が進められていく中で、本来の日向夏の、「絶妙な糖と酸のバランス」を有する在来系を栽培しています。 また、参考にさせていただいている「日向夏ものがたり」という書籍の中で、著書の先生が、若木には出せない「古木の味」を絶賛されています。
当農園に80本ほどある「原産原種日向夏」は、樹齢が44年の古木であり、その記事を読んだ時には「なるほど、やっぱりそうだよな」と、共感させていただきました。

<ポイント2 みかんが「一番美味しくなる」粘土質土壌で栽培>
昔から農家さんの間でも、みかんは粘土質土壌で栽培されるのが一番美味しいと言われています。
普通のみかんでは特に、収穫までに木に水分ストレス(土を乾燥状態でコントロールする)を人工的に与えて、糖度を高くする技術が推奨されており、実際に実施されている園地もありますが、 土の中で「最もきめ細かい」粘土質土壌では、絶妙な水分ストレスが自然と可能になっているのではないでしょうか。

<ポイント3 水はけの良い傾斜地園>
粘土質土壌は、美味しいみかんができますが、田んぼに適した土壌でもありますので、基本、そのままだと水はけが悪いです。
きめ細かい粘土質と、水はけの良い傾斜地の組み合わせによって、さらに絶妙な水分コントロールが可能になっています。

<ポイント4 生産者が意地っぱり>
あの手この手で、美味しい日向夏を作ろうとします。

© 2021 Otabara Farm . Powered by WordPress. Theme by Viva Themes.